最近の仕事から

2009.6.08 Mon

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▲横浜ワールドポーターズ ホリディフェスタポスター


横浜のみなとみらい地区は今、開港150周年で賑わっていますが
そこにある横浜ワールドポーターズのポスターの制作を担当させてもらっています。

うちの事務所は私がカメラマンであることもあり、
キービジュアルは写真を使うことが多いのですが
今回はめずらしくイラストを使用しています。
そして今年は横浜が開港150周年ということもあって
ポスターのテーマは「OLD & NEW 横浜」でした。

そこでイラストレーターの候補に挙げたのが
知り合いの引地渉さんでした。
クライアントであるワールドポーターズにも気に入ってもらえ
今年の年間のキービジュアルとして採用されました。
確かに彼のイラストはちょっとおしゃれでレトロな
「横浜」のイメージに合っていると思います。

引地さんは元デザイナー。
イラストレータになる直前にデザイナーとしての彼と一緒に仕事をしたこともあります。
その頃、ちょうどイラストレータになる準備をしていて
仕事の合間にせっせと作品を作っていました。
古い雑誌のページやいろいろな紙を使ってコラージュする
彼独特の技法が生まれつつある時に立ち会っていたわけです。
彼の机の回りは紙くずだらけ。
まるでゴミの中で作業をしているような状態でした。

しかし、出来上がってくる作品は見事に味わいのある1枚の「絵」となっていました。
部分的に見ると、ちぎったり、カットされた紙くず?が
無造作に(見える)貼られているのですが
全体はちゃんと味わいのある「絵」になっている。
さらに技法と共にその絵の空間を表現する感覚が彼独自のもので
さしずめ紙のイリュージョンといった感じです。
何も無いところから紙をちぎって、イメージを形にしていき
そこに生まれる風景(世界)には空気感さえ感じます。
特に彼の描く風景には「かつてどこかで見たような」錯覚を起こさせる
懐かしさが漂っています。
イラストレータとしてデビューして間もなく
その世界では名誉である2004年のHBファイルコンペ大賞(鈴木成一賞)を受賞し
現在ではエディトリアルをはじめとしていろいろ活躍中です。
(詳しくは彼のHPをご覧ください)
現在発売中の「イラストレーション」(玄光社)7月号でもその独自の技法が紹介されています。

ちょっと懐かしかったり、レトロな未来を感じさせるその絵には
実は作る時に彼なりのストーリーがあるそうです。
彼の個展でそのストーリーを聞いたことがありますが
大変な夢想家なのだと思いました。
そこが現実的なカメラマンとの違いかもしれない。
カメラマンにもいろいろなタイプがありますが
あまり夢想家タイプはいないような気がします。
イラストレータはちょっと異次元なところにいるくらいが
いいのかもしれません。(その現実は大変だとは言っていましたが‥‥)

この厳しい世相の中で、絵を描く才能と同時に
ファンタジーを夢想できる才能はイラストレータならではと思います。
実際に本人に会っても、そんな感じはひしひしと伝わってはきます。
高校のちょっとへんで人気がある美術の先生と言った感じです。
実際、彼は一卵性双生児の兄がいて、美術の先生をしているそうです。
一卵性だとセンスも似ているのでしょうか‥‥。

最近は立体の作品も制作していて
次のポスターは予定通りにいけば、立体でお願いすることになっています。
その時はうちの事務所で作る予定なので、
その貴重な制作過程をドキュメントできるかもしれません。
お楽しみに‥‥‥。

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